日本の佇まい
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建築の側面
近畿物件01:表舞台に施す彩り
規模:5階建て

用途:事務所

写真1:外観

写真2:
右手背後が、新たに建てられたマンション。
そのサブエントランスから手前の公道に向けて伸びるアプローチに当該側面が面する。

恐らく周囲には小振りな中低層の建物がびっしりと建て込んでいたのであろう。 だから、この建物の側面も、公道からの日常的な視線には決して晒されることの無い部位であった。
ところが、周囲の建物が次々と買収されて除却。 そうして出来たまとまった広さの敷地に、巨大なマンションが建設された。 その脇にポツリと残されて隣接することとなったこの既存建物の側面は、新築マンションのサブエントランスへのアプローチに面している。 つまり、マンションの居住者は四六時中この経路を利用する。 そんな経路に直接面することによって、長らく隠蔽されていた側面は思いがけず都市の表舞台へと躍り出たのである。

マンション住民の日常的な視線に晒されるその側面が、旧来の無表情な設えのままであって良い筈がない。
この既存建物所有者のセンスか、あるいはマンション建設事業者の行為か、はたまたマンション住民のアイディアなのか。 その経緯を確かめる術は無い。 しかし結果としてその側面には、除却された隣接建物のアウトラインをベースに様々な樹木が描かれることで明るく綺麗に仕立て上げられ、都市にささやかな彩りを添える存在となった。

中央のひときわ大きい樹の枝の途上に穿たれている既存建物側面の小窓は巣箱に見立てられ、その開口の面台には小鳥の置物が飾られる等、細やかで楽しい演出が見受けられる。



2013.10.19/記