日本の佇まい
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建築の側面
関東物件04:電磁的二次元迷宮
規模:地上6階

用途:事務所ビル

写真1

写真2:

壁面全体に荒れ狂うランダムな線分。 それは、あたかも強力な磁場の中に放たれた電光の一瞬を精緻に転写したかの如く。 放電の源と見立てることが可能な開口部廻りは、さしずめテスラコイルといったところか。

実態は構造躯体に生じたクラックの補修痕。 適切な誘発目地及び打継目地の配置の欠如。 配筋のかぶり不足。 そして打設するコンクリートの品質及び打設方法に纏わる現場管理の不徹底等々、教科書通りの複数の要因に基づくクラックの発生様態。

しかしこれは、外表が塗装仕上げであるが故に目視で不具合が確認されたがために対処された光景。 タイル張り等、コンクリート下地を覆う仕上げが施された場合は、その仕上げ材の接着強度の低下、すなわち剥離や剥落といった状況が顕然化するまではその不具合には気づきにくい。 そして当該建物は接道面にタイル張り仕上げが施されている。 コンクリートの施工品質が同質であるならば憂慮すべき状況だなと思っていたら暫くして建物全体が足場で覆われ修繕工事が始まった。 タイルの不具合箇所は躯体補修を伴った張り替えを、そして側面は綺麗に吹付塗装が施されてこの様態は消失した。



2018.02.10/記