日本の佇まい
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建築の側面
北陸物件03:滲み出し目地模様
規模:4階建て

用途:店舗

写真1:外観

写真2:
向かって左手が写真1の立面。 道路に面している右手の立面は、ワンフロアに上下二列の横連窓が設けられているために、もっと高層の建物の様にも見えるが四階建てである。
RC造のラーメンフレームの内側に、帳壁としてコンクリートブロックを積み上げた構造。
その構造形式は、表面を薄いモルタル塗りで仕上げることにより、永らく隠蔽されていた。 しかし、経年の中でコンクリートブロックの目地詰めモルタルが徐々に中性化し、カルシウム分が表面に滲み出てきた。 恐らく初期においてはほんの一部に。 しかし時を経るごとにその範囲はじわじわと広がり、かつ明瞭になってきたのであろう。
隣接建物の除却によって、そんな経年変化の途上を偶然見つけることとなった。
下地材を消し去るために塗り籠められた筈の薄いモルタルの皮膜が、いつしか、その下地を示現させるためのキャンバスと化す。 そして、目地のグリッドによって徐々にその存在が表層に析出する。
決して健全とはいえぬ経年の作用が、建物の側面に予期せぬ意匠を醸成し、均質であった壁面に新たな表情を与えつつある。


2012.09.22/記