日本の佇まい
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建築の側面
北海道物件12:意味不要の表示板
規模:2階建て

用途:店舗+住宅

写真1:外観

写真2:
前面に主要道路。背後に単線の鉄路が通る。

乗車時間約二分。 大して離隔を持たぬ二つの駅の間を結ぶ鉄路に並行してその地方の主要道路が通る。 主要道路と言っても片側一車線。 交通量もさほど多くはない。
二駅間のそんな通り沿いには、仕舞屋然とした家々が歯抜けに並ぶ。 それらの風景からは、かつてはびっしりと店舗併設住居が建ち並ぶ商店街が形成され、地域の中心街としてそれなりの活況を呈していたのであろうことが容易に推察可能だ。

縮退途上にある歯抜け状態の通り沿い。 当該物件は、そんなロケーションの中に位置する。 そして隣地建物の除却によってその側面が露わになったことは、写真2からも明らか。
その側面の様態については様々なイメージが喚起される。 八文字のタイトルを付けるという全く意味の無いこのページの自主ルールに則るならば、例えば「チャートの色分け」といった表現が可能だろうか。 幾つかの事案の推移について比較検証を行うためにその棒グラフを明確な色分けをもって重ねて表記した様な状況。 あるいは、色の異なるトタンの張り分けによって高層建物が折り重なるように建ち尽くす都心の遠景を表現した「超高層ビルの群体」といったタイトルも可能であろう。
しかしここでは、そこに生じている状況に対し何らかの意味や、あるいはその意味に基づく言葉を見い出すことに価値は無い。 関東物件No.02として紹介している「乱舞する色彩模様」に似た状況でありながら、しかしもっと明確でエッジの効いた色分けが施されたこの側面は、ある程度のスピードでこの通り沿いを走行する車の中からの視線においても容易に目に留まる。 意味も、そして意図さえも不在であろうその側面の状況が、歯抜け状態にある町並みを逆手に取った効果的な店舗表示としてそこに顕然している。



2017.05.27/記