日本の佇まい
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建築の側面
北海道物件10:残置壁の中の痕跡
規模:不明

用途:不明

写真1:外観

写真2

一瞥した限りでは、除却された煉瓦造の建物の痕跡が壁面に付着している状況の様に思える。 しかし、その壁面のすぐ背後にそそり立つ建物の壁との関係や、あるいは壁の右端に少々見える同じく煉瓦積みの縁取りに少々違和感を覚えたので壁面に近づいてみた。 すると状況は写真2の通り。 痕跡が付着した壁自体も、かつてこの場に何らかの形で建てられてた構造体の一部が壊されずに残留したものであった。
つまりここでは痕跡が二重の意味を持つ。

果たしてこの状況がどの様なプロセスを経て生成されたのか。 ないしは、この痕跡の元々の建築様態は如何なるものであったのか。 色々と推察は可能だが、ここにその推察をツラツラと書き連ねることにあまり意味は無い。
存在価値を失い、その殆どを除却されながらも辛うじて残置することとなった壁体の中に更に残された痕跡。 あたかも枯れ枝の先端に宿存する枯葉の如きそこはかとない都市の一現象としてこれを捉え、愛でてみるだけで十分なのではないか。 そこに在るのは、いつ滅失するとも知れぬ街の記憶の一部なのだから。



2015.06.20/記