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建築探訪
オーツカビル(大塚製靴本社ビル)
所在地:
東京都港区新橋

建築年:
1979年11月

設計:
大谷幸夫/
大谷研究室

規模:
地下1階,地上8階
4995.89平米

写真1:西側立面見上げ


基壇としての一階廻り。 基準階としての二階から七階。 その上に更に八階が載るが、基準階に対してかなりセットバックしているため、遠望しない限りは地上から視認することは出来ない。 かわりに、基準階の最上部である七階の意匠を他階とは異なる設えとすることでエッジのデザインを固めている。

基準階の立面は、四隅に集中的に意匠を施すことで、鉛直面のエッジも固めている。
壁面を矩形にへこませてバルコニーを設け、出隅を円弧で削ぎ取っている。 その円弧と同心円状に設けられた鋼製の手摺や上げ裏の扁平片持ち梁。 更にはコーナーサッシュや付柱等々を組み合わせることで複雑で彫りの深い表情を生み出し、外観に個性を与えている。

そんな隅角部に呼応し、長辺方向の外壁面に並ぶポツ窓も、開口部のダキを大きくとって彫深い表情としている。
南側ファサードは基本的に無窓とし、中央にインナーバルコニーを設置して中心軸を形成。 両隅の意匠との相乗効果で左右対称性を強調し、メインエントランス側ファサードとしての構えを作り出している。



写真2:
隅角廻り詳細
写真3:
南側立面

一階廻りは、基準階フロアよりも外壁面を後退。 それによって陰影がもたらされ、基準階のボリュームが地上から切り離される。
オーバーハングする二階床スラブ見上げ面には等間隔に片持ち梁が並び、一定のリズム感を生成。 壁面後退と相まって一階廻りにアーケード的な設えを与え、道路に面して設けられた貸店舗やショールームの用途に関連付けられている。

ということで、いずれの外観構成要素も形態の意図が明確であり、それらの意匠の組み合わせが外観に端正さを与えている。
新築時の接道条件から、南側の道路に面してメインエントランスが設けられたのであろうが、その後周囲の状況は大きく変化。 裏側にあたる北面が、環状2号線に直接面することとなった。
新たな幹線道路に対して背を向ける状況に対しては、軽微な改修によって調整・対処が可能であろう。 しかし竣工してから三十年以上を経る中で、存続する上で困難な事象が色々と発生したのであろうか。 建物は2012年8月31日をもって閉館。 同年10月1日より除却工事が始まり、姿を消した。



写真4:
一階廻り。
基準階とは異なり、ガラスの開口を大きくとった構え。
写真5:
西側立面見上げ
ダキをとった小窓を配列しているが、基準階の最上層にあたる七階のみ意匠を変えている。


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2013.01.12/記