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建築探訪
東京都立日比谷図書館
所在地:
東京都千代田区
日比谷公園1-4

建築年:
1957年

設計:
東京都建築局

規模:
地下1階/地上4階/塔屋2階

現況:
2009年4月に閉館。以降改修実施のうえ、2011年11月4日より千代田区立日比谷図書文化館として供用。

写真1:国会通り側(南側)の外観


※1
写真2:北側外観



※2
写真3:西側隅角部詳細

国会通りに面した日比谷公園内に位置する正三角形平面が特徴の図書館である。
平面に正三角形が採用されたのは、敷地形状によるものであろう。
この建物両脇の公園内通路と公園の外を通る国会通りが、敷地を三角に囲んでいる。
資料※1によると、この公園内通路は図書館の建築にあわせて整備されたものではなく、公園が造成された初期の頃から既に設けられていたもの。
従って、三角の敷地形状が設計条件であった。
しかし正三角形プランの採用は、単なる敷地与件への対応には留まらないと考えられる。
むしろそれを積極的に設計に取り込むことで逆に個性的なプランニングを実現したのではないか。

1950年代は、四角形状以外の建物が積極的に建てられた時代であるように思う。
例えば、こんにちでも各地に散見される円形の校舎や病院建築等の建設時期も、この日比谷図書館の建設時期に重なる。
それ以外にも、例えば六角形の京都市立深草中学校校舎や、八角形の八尾市立南山本小学校校舎などの例がある。
日比谷図書館も、そのような系譜の中に位置づけられよう。

公園側に鋭角を向けることで、公園内から建物へアプローチした際、その形状が三角形であることを容易に視認させる※2
逆の国会通り側は、底辺を向けることで幅広の壁面を見せ、周囲の建物のスケールに呼応させたしつらえ。
その道路側の東西両端には外部螺旋階段が設けられており、鋭角と円の組み合わせが建物のエッジを際だたせている※3
なお、この三角形状の平面に呼応するように、柱の水平断面も全て六角形で構成されている。

外部に面した建具の内側には格子が吹寄せに組まれた障子が入れられており、室内に外光を柔らかく取り入れている。
逆に夜間は、室内照明が外部に柔らかく滲み出し、あたかも巨大な行灯のような風情を都市公園の一角に醸し出す。



INDEXに戻る 参考文献
CLA関東自主企画事業 日比谷公園「これまでの100年、これからの100年」活動記録<社団法人 ランドスケープコンサルタンツ協会関東支部>

2009.01.24/記
2011.11.19/備考欄追記