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建築探訪
観慶丸商店
所在地:
宮城県石巻市中央3丁目

設計者:
須田幸一郎

施工者:
須田栄三郎

竣工:
1930年

構造:
木造3階建て

写真1:外観


※1
旧東北実業銀行石巻支店
1925年竣工

石巻市の中心街に位置する陶器店。
開店当時は1階で本業の陶器を、そして2階で化粧品や洋品類を扱い、3階では玩具や文房具や海産物が売られていた。 更に、当初は休憩コーナーに供されたベランダ部分が、後に食堂となった。
市内初の百貨店ということで、当時は相当話題を呼んだという。

交差点に面した角地という立地特性を活かして隅角部を曲面とし、そこに意匠を集中配置していることが確認できる。
2階と3階部分の隅角部は、アーチ状の窓や丸窓等がシンメトリカルに配置され、そこに多種多様のタイルがびっしりと埋め尽くす。 そしてその両翼の壁面には、鉄筋コンクリート造をイメージさせるような骨太な柱や梁が表現され、その格子の中に縦長窓が二列づつ並ぶ。 ここもタイルで覆い尽くされている。
1階部分は、通りに向けての商品ディスプレイを想定したのか、アーチを冠したガラス張りの大開口が並び、建物の基壇部分を構成。 ここでも柱や腰壁部分に個性的なタイルが使用されている。 そして建物頂部には瓦屋根を廻し、全景が引き締められている。
全体的に、陶器の工芸品のような雰囲気をもつ重厚感溢れる商業建築であるが、構造は木造。

道路を挟んで向かいに旧東北実業銀行石巻支店(現、第2SSビル)※1が建つ。 古典的なディテールを纏ったファサードには、現況、少々意外な彩色が部分的に施されている。 そしてその隣には看板建築が建つ。
これらの建物群により、街並みの一角に深みのある景観を醸成している。



参考文献:
総覧日本の建築1 北海道/東北<社団法人日本建築学会>
読売新聞1989年4月2日 日曜版

2006.09.16/記