日本の佇まい
国内の様々な建築について徒然に記したサイトです |
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建築探訪
四同舎(旧湯沢酒造会館) |
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所在地:
秋田県湯沢市 前森1-1 竣工: 1959年 設計: 白井晟一 構造: RC2F 備考: 登録有形文化財 |
北西側外観 |
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エントランスポーチ廻り
垂直方向の強い軸性を持つ構えながら、微妙に対称性が崩されている。 黒い柱は鋼板仕上げ。 ※1: 北側立面開口部廻り 二階縦長窓の面台として分厚い白御影を配し、直下の一階開口には丸穴を規則的に穿ったPCa製窓グリルが嵌められている。 |
その内外観を鑑賞する機会に恵まれ、JR湯沢駅に降り立つ。
秋雨前線の影響で、あいにくの天候。
冬の気配も少々感じさせる。
そうして眺める四同舎の内外観は、しかしやはり不可思議に溢れている。 |
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画像補足:
訪問時、エントランスホール内に円筒形の白い物体が置かれていた。 本文中のエントランスホールの画像の右隅に映っている表面にフルーティングが施されたものがそれ。 これは、2016年に解体された白井晟一設計の旧雄勝町役場(湯沢市雄勝庁舎)の柱の一部分。 解体を惜しんだ有志で切り出し移設したものだそうだ。 特徴的な楕円形断面が良く分かるとても貴重なものだ。 ※2: 一階集会室 正面左上に、本文で指摘した外部開口。 現状は換気扇で大部分が塞がれているが、かつては窓グリルから外光が粒子状にもたらされる趣向だったのだろう。 右手の太鼓張りの襖は、隅角部の打ち放しのRC柱と竪枠を介さず直接取り合う。 また、各部位に八掛けや留め納まりが多用されている。 天井照明はオリジナルのものでは無く、後に取り換えられたもの。 |
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エントンランスホール
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二階ギャラリー
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つまり、ホール正面の壁が周囲と同様のタイル仕上げだったら、空間に締りが無くなってしまうだろう。 手摺も、集成材の生地のままだったら、その場の雰囲気の中で浮いてしまっていたかもしれぬ。 集会室も、外観構成上どうしてもそこに生じる外部開口に対して丸太を横に掛け渡たすことで、床の間と同質の設えが与えられている様にも見える※2。 パラペットだって、そこが豪雪地帯であることを鑑みれば、この力強さこそが地域性として求められよう。 あるいは、壁体が強調されたファサードに対しても、プロポーションを調律する上で過不足の無い厚みとも捉えられる。
形態操作に纏わるこれらの知覚は、何に起因して作用してくるものなのか。
あるいはもしかすると、鑑賞する側は、空間の本質についての極めて挑発的且つ深遠な問い掛けを個々のディテールを通して設計者から投げつけられているのかもしれない。
白井作品に接する時は、いつもそんな感覚に囚われてしまう。
否、それすらも先入観なのだろうか。
そう、結局のところ"無垢の視線"などあり得ない。 |
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一階集会室
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二階会議室
正面の壁は微妙にRが付けられている。 |
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※3:
エントランスポーチを建物西端から臨む。 平面的に角度の振れた一階外壁面と大きく突き出た庇によって、奥のポーチに向かって強いパースが形成されている。 ※4: 両関酒造本社事務所外観 |
一通り内部を鑑賞し、屋外に出る。
案内して頂いた現所有者の方にお礼を述べ、建物をあとにしてから暫し周囲を散策。
すると、これは四同舎を意識したのではないかと思わせる建物が目に留まった。 |
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2020.12.19/記 |