日本の佇まい
国内の様々な建築について徒然に記したサイトです |
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建築探訪
坂出人工土地 |
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所在地:
香川県坂出市京町 建築年: 1968年〜1986年 設計: 大高正人 |
写真1:外観
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1.初見の印象 | ||||||
かつて建築専門誌にて当該建物のことを初めて見知った際、そこに掲載されていた写真は、高所より俯瞰したアングルのものであった。
木造家屋が陸続と建ち並ぶ旧態依然とした既存の街並みの中に忽然と屹立する姿を捉えたものであった。 |
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2.環境問題と人工地盤 | ||||||
昭和半ばの高度経済成長期、旧来からの都市は社会全体の変化に対応できず疲弊しつつあった。 |
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3.人工大地 | ||||||
そのままでは環境悪化の一途を辿るであろうことが懸念された木造密集住宅街区の一画を段階的にクリアランス。
更地となった敷地にRCの構造体を立ち上げ上空に人工地盤を構築。
その地盤の上に集合住宅群による居住環境を整備し、下部に公共施設や店舗や駐車場等を配すという野心的な再開発事業は、各地の駅前広場に整備されたペディストリアンデッキとは用途及び形態を異にする。 |
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4.上界・下界 | ||||||
写真2:
坂出駅からアクセスした際に最初に見える全景。 L型に配置された両棟が接する交差点に面した隅角部には、辻広場が設けられている。 交差点を挟んで写真の向かって左側には、アーケードを冠する既存商店街が線形に伸びる。 その商店街と交差点を挟んだ人工土地下の商店街との連関性を、辻広場によって持たせることが企図されていたのかも知れぬ。 |
やや時代がかった商店街が広がる坂出駅前通りを数刻歩を進めると、交差点に面して当該建物が見えてくる(写真2)。 |
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写真3:
人工土地上の集合住宅群 |
写真4:
住棟立面 |
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写真5:
雛壇状の住棟 直下は市民ホールの用途。 写真6: 人工土地下部の駐車場。 柱梁フレームの形態や、円形のトップライト(右手)の配置等、意匠的な配慮は見受けられるが・・・。 |
分厚いパラペットは人工土地の外周であり、その上に並ぶ建物はその人工土地上に建てられた市営の集合住宅。
しかし人工土地の下部に歩を向けると、途端に駅前のペディストリアンデッキの下層と同様の、若しくはそれ以上の状況を目の当たりにすることとなる。
大地の上に第二の人工の大地を築き、都市の諸問題の解決にあたるという発想。
そのこと自体は具体的な有用性と展開性を伴う手法なのであろう。 |
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2018.11.17/記
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