日本の佇まい
国内の様々な建築について徒然に記したサイトです |
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建築探訪
千城台東第一県営住宅 |
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所在地:
千葉県千葉市 若葉区千城台東2 建築年: 1971年〜72年 |
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1.初期工業化公営住宅の系譜 | ||||||
千葉モノレールの千城台駅周辺には、1965年に造成が始まった計画戸数8800戸、総面積207haに及ぶ住宅地が広がる。
計画的に敷設された街路に沿って昭和40年代以降の様々な形式の戸建て住宅が建ち並ぶ風景を眺めながら歩くこと10分余。
千城台東第一県営住宅が見えてくる。
各住棟を構成する住戸の内外観は、全て同一規格で構成されている。 |
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2.公営住宅の量産化 | ||||||
※1:
※2:
※3*1:
※4*2: |
1960年代初頭、公営住宅の大量供給を目的に旧建設省内でPCaパネルを用いた構法の開発が始まった。 当初は平屋建て(62MLC型)※1の検討が進められ、1962年10月には関東、中京、関西の各エリアでを835戸の建設に着手。 二階建ての63MTC型※2についても同年12月下旬にプロトタイプモデルの試施工と各種検証※3が行われ、翌1963年、全国で大量供給が開始されている。
僅かな検討期間でのこの成果は、既存技術を組み合わせる方針の徹底が功を奏した様だ。
千城台東第一県営住宅は、諸室配置が63MTC型とは微細に異なる。
住戸の外形こそ芯芯で間口3810mm、張間5610mmと同じ寸法だが、諸室の面積配分及び配置に違いが認められる。 |
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3.現況 | ||||||
※5:
入居募集を継続している別の団地の同型の住棟において、隣接住戸どうしの2戸1化により床面積の拡張を図っている事例もある。 |
当県営住宅は、1990年代半ばに入居募集を停止。
以降入居者の転居等が進み、全ての住民の退去を受け2018年に廃止された。
千城台には、同型の住棟を含む同様の県営及び市営の住宅団地が他にも幾つか散在する。
供用が継続されているもの、建替えのため既に除却されたもの、あるいは空家住戸を多く抱えたのもの等、状況は様々。 時を経ることで、要求される居住性能との整合を見い出しにくくなっている面もあろう。 しかしそこには、かつての住宅生産の工業化に向けた使命と夢が静かに穏やかに沁み込んでいる。 |
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引用した画像の出典 *1:プレハブ住宅<財団法人日本住宅協会> *2:1964年版日本のプレハブ住宅<日本のプレハブ住宅編纂委員会> 参考文献 ・プレハブ住宅<財団法人日本住宅協会> ・プレハブ建築協会二十年史<社団法人プレハブ建築協会> ・わたしの住宅工業化、産業化の源流物語<澤田光英> 2022.11.19/記 |