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ポールハイツ淀

所在地:
大阪府大阪市
北区本庄東3-5-19

施工:
竹中工務店

建築年:
1974年1月

構造:
SRC造11F/B1F


写真1:外観.1
※1

写真2:遠景

大阪市営地下鉄天神橋筋六丁目駅で下車。 地上に出ると、目の前を天神橋筋が南北方向に一直線に流れる。 交通量が極めて多いこの幹線道路の北方向に目をやると、遠方に当該集合住宅が道路に少しはみ出して屹立する様子が確認出来る。
なぜこの様に見えるかと言えば、道路が建物近辺で東側に向かってなだらかなS字カーブを描いてその先の長柄橋南詰に接続するため。 この集合住宅の敷地がそのカーブなりに接道しているので、遠目からは通り沿いに建物がはみ出して建っている様に見えることとなる※1

そんな天神橋筋からの遠景、あるいは長柄橋からの視線を意識して外観が構想された可能性は高そうだ。
塔状のボリュームを持つ立面は、いずれもキューブを前後にずらしながら積み重ねた様な形態処理を施すことで、板状箱型の通常の集合住宅とは明らかに異なる表層を構成している。 その凹凸は、各住戸の居室外壁面に設えられるバルコニーと出部屋を上下階で交互に逆転させ、更にその奥行寸法をスパン毎に変えることで形づくられたもの。 下階の出部屋の外壁と直上階バルコニー手摺を同面で一体化させることで、オーバーハングするキューブの形を明瞭化。 また、出部屋部分の開口を全て掃出しとし、更に建物隅角部のそれをコーナーサッシとすることで、キューブ自体のプロポーションに個性を与えている。

こうして造り出される全体像は、キューブの増減で如何なる規模への対応も可能となる。 すなわち、現況の物件は法規制と構造与件と事業収支によってたまさかにその頂部が限定されたに過ぎぬ。 形式的には、天空に向かって無限にキューブを積み重ねて増殖し続けることも、あるいは逆に縮退させることも可能だ。
その辺りは、この集合住宅の建設時期に興隆していたメタボリズムの潮流に与しているという捉え方もあり得る。

INDEXに戻る 2017.02.04/記