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建築探訪
サン市川ハイツ
所在地:
千葉県市川市
市川1-9-11

設計:
藤井伸一設計事務所

施工:
白石建設

建築年:
1974年6月

構造:
SRC造14F

写真1:外観


平滑な外壁面に住戸単位のカプセルをややオーバーハングさせつつ規則正しく装着したかの如きファサードが四面に共通してデザインされた外観を持つ。
実際にはカプセル工法ではなく、現場打設によるコンクリート躯体によって表現された意匠だ。 しかしここでは、外観の特徴となっているこのディテールを「カプセル」と表現することにする。

幹線道路に面した北側立面(写真2)は、その中央を縦に貫くカーテンウォールが取り付く。 カーテンウォールは、フレームをスチール、サッシをアルミで構成しており、双方ともに表面処理をブロンズ色とすることで白一色の外壁面にメリハリを与えている。
そしてカーテンウォールを挟んで左右にカプセルが一列ずつ対称に並ぶ。 個々のカプセルは、開口部を極力減らすことでキューブ状の意匠を強化すると共にカーテンウォールとの対比を明確化。 また、各カプセルに一つずつ穿たれた開口部は、ダキを深くとることでカプセルとしての立体感を強調している様に見える。
これらの形態処理により、一般的な集合住宅らしからぬ、どちらかというと商業建築的なファサードを実現。 駅に近い商業地という立地条件に応答している。


写真2:北側立面見上げ


写真3:西側立面見上げ

北側以外の立面に表現されたカプセルは、北側のそれとは異なりバルコニーや複数の開口部が取り付く。 しかし住戸単位のカプセルの整然とした配列というデザイン構成は崩れていない。
また、下層フロアは商業施設の用途に供しているが、同じカプセル的なデザインを用いつつ、その全面をガラス張りとすることで上層住居用途の基準階とは異なる表情も与えている。

外観目視から判断するところ、屋内は中央に垂直動線を納めたコアを設け、そのコアをコの字に囲う様に東西と南面に住戸が並ぶ。 そして北側のカーテンウォール部分はコアから延びる共用スペースとなっている様だ。

外観を印象付けるカプセル的なデザインは、その時期の建築潮流の一部に組み込まれると解釈出来よう。
例えば、別ページにて紹介している同様にカプセル的なデザインが施されたチサンイン名古屋の竣工が1973年。 あるいはカプセル建築の嚆矢である中銀カプセルタワービル(こちらは“カプセル的”ではなく本当にカプセルだ)の竣工が1972年だ。



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