日本の佇まい
国内の様々な建築について徒然に記したサイトです |
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建築探訪
植物園グランドハイツ |
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所在地:
北海道札幌市中央区 北二条西10丁目1-14 施工: 竹中工務店 構造: RC7F/B1F 建築年: 1976年7月 |
南側外観 |
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※1:
航空画像* 中央が植物園。 市街地の街路を規定するグリッドの3行3列分が敷地にあてられていることが判る。 その敷地の左下部分の一部が住宅地となっている。 |
1.特異なロケーション | |||||||
開拓の初期段階に策定された都市計画に則り、碁盤目の街路によって整備された札幌市内中心部。
その一画に北海道大学植物園が位置する。
そんな園内を一部浸蝕するかの様に、敷地の南西角部分に民地が不整形に広がる※1。
そこは都心に在りながら恒久的に保持される森が北側に広がるというなかなかに得難いロケーション。
当該建物はその中に建つ。 | ||||||||
2.不均質性の介入事由 | ||||||||
均質なマトリクスによって厳格に構成されている様に見える市内中心部も、局所的には街路の乱れが散在する。
それらの主な生成理由は、以下の三つ。
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1.
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都市計画策定以前に敷設された旧道の名残
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2.
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開拓以前に流れていた河川の流路の影響に拠るもの
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3.
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開拓期の行政単位の違いに伴う都市計画上の齟齬に起因するもの
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※2:
上記航空画像に映っている植物園の右辺中央部分に、当該施設の正面出入り口がある。 その周囲の道路がやや屈曲していることが判る。 |
例えば植物園の東側に面する道路(西八丁目通り)は、同施設の正門周辺で微妙に湾曲している※2。
これは、かつて存在した同施設近傍の湧出を水源とした小川の流路の名残。
明治時代に出された市街地図にも、その小川が記載されている。
現在の道路の湾曲やその位置は、描かれた流路に近似する。
今となっては想像することすら困難になっているが、開拓以前の札幌市街地エリアは、市内を流れる豊平川の支流やその分流、あるいはそれらの伏流水と思しき湧水を源とする小川が無数に流れていた。 |
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3.埋め込まれた土地の記憶 | ||||||||
当該マンションが建つ敷地と植物園の境界は、旧河川の流路に沿う様に街路軸に対して斜めに振れている。
桁方向の各スパン毎に雁行する住棟計画は、この斜めの敷地ラインに対応して策定されたのかもしれぬ。
もしもそうであるならば、建物形状は旧河川の流路が置換されたものという見立てが可能だ。 |
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南側のオーバーハングは4階と6階部分の二箇所。
そこに雁行を絡ませることで、幅方向を住戸の間口、そして高さ方向を二層分の住戸にて規定するキューブ状のボリュームがズレながら迫り出して積み重なる全体像が形成されている。
そしてそんな外観構成を妨げぬ様に配慮したのか、キャンティスラブ形式のバルコニーの設置は最小限に留められ、外壁面の存在が強調されている。 |
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引用した図版の出典:
* 航空画像:国土画像情報(カラー空中写真)<国土交通省> 2014.06.07/記 |