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建築探訪
常盤松ロイアルハイツ
所在地:
東京都渋谷区
東1-3-1

設計:
(株)構想建築設計研究所

建築年:
1978年03月

規模:
SRC造7F/B2F

写真1


※1
1967年に開催されたモントリオール万国博覧会のパビリオンとして建設された集合住宅。
設計は、モシェ・サフディ。
和製のHabitat 67※1
外観を見上げ、即思いついた印象だ。 単純なキューブをランダムに積み上げたような外観。 Habitat 67は、実際にキューブ状の住戸単位を鉄筋コンクリートにて別途製作し、完成したユニットを現地にて積層させることで成り立っている。 勿論、常盤松ロイアルハイツは同様の工法には拠っていないのであろうが、よしんばその様な施工方法を想起させる外観。
但し、違いもある。 時折オーバーハングを伴いながらも基本的に上層に行くに従いセットバックする概ね末広がりなボリュームのHabitat 67に対し、こちらの方はセットバックとオーバーハングをより効果的に組み合わせながら、寸胴な全体象の中でキューブのランダムな積層状態を表現している。
それは、敷地条件や、その条件下での不動産事業収支との整合の中で必要となったボリューム確保のための設計措置であろう。 更に、その制約下において、上下で住戸が異なって積層されることによる防水や遮音や断熱といった基本性能の確保。 あるいは各種法令への適合等、クリアするべき課題は通常の単純な板状集合住宅の比ではない。
この様態の実現は、相当の挑戦ではあったことと思われる。

写真2:

写真3:
西側立面見上げ
建物は下層三フロア分が商業施設用途にあてがわれている。
敷地の二面が接道する立地を活かし、各店舗へのアクセス経路を複数設定。 階段の配置を含め迷路状の空間を形成し、上層住宅階のランダムなボックスの集積との関連付けを行うと共に、商業施設としての魅力付けを演出している。 更に、複雑な動線計画を伴いながらも、上層住戸階へのアクセス経路と錯綜しないよう配慮された計画も巧みだ。
当該マンションの中古販売の広告を見ると、各住戸の間取りは凹凸の豊かな外観そのままに、殆どの開口にコーナーサッシを採用したり、あるいは各居室に二面採光を確保するなど、単純な矩形の住戸を積層させる形式では望めぬ変化に富んだ動的な構成がいずれの住戸にも共通して見受けられる。


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