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建築探訪
ライオンズマンション新宿御苑ハイム
所在地:
東京都新宿区
新宿4-2-1

設計:
吉本建築設計事務所

施工:
三平興業

建築年:
1977年6月

規模:
SRC12F

写真1:北東側外観

写真2:北側立面


縦方向にいびつに伸長したゲーテアヌム。
そんな第一印象をこの集合住宅に対して抱いた理由については、特に多くを述べる必要も無いかもしれぬ。
道路に面する立面両端は、微妙な反りを伴って僅かに前面に突き出し、エッジの輪郭を固める。 そのエッジが建物頂部でヌメリと曲面を描き、艶かしいスカイラインを形成。
そんなプロポーションが、ルドルフ・シュタイナーの設計による堅牢で彫塑的な表情を持つその建物を容易に連想させる。
とはいえ勿論、大地にどっしりと根を張ったが如き重厚感をもって鎮座する本家と同質の佇まいという訳にはいかぬ。 隣接建物との離隔も殆ど確保出来ぬ狭隘な敷地の中で、取得可能な容積を目一杯取り込むために爪先立ちする、いわゆるペンシルビル型の集合住宅。 それが、当該物件だ。

一階部分は共用エントランスと店舗が入る。
二階から上が住戸。 写真1の道路に面した東側立面の左右にそれぞれ一住戸ずつ。 また、この裏側にあたる西面も同じファサード構成となっており、同様に住戸が二つ配置されている。 東側の二住戸、そして西側の二住戸に挟まれて中廊下が付き、その中廊下に接続するように垂直動線のシャフトが別のボリュームとして建物の南側に取りつく。
このシャフト部分は隣地建物が近接するためにその意匠を確認することは容易ではない。 しかし、ここにも曲面壁を伴う開口部が見受けられる。 その彫塑的な形態処理もまた、ゲーテアヌムを連想させる全体像と抗わない。

写真3:
側面側の外壁の構成。
画面左端の開口部は、曲面を伴って捲れ上がった壁面の小口も取り付いている。
写真4:
バルコニー部分詳細
各住戸に取りつくバルコニーのデザインも、建物を印象付ける頂部の曲面に呼応させたのであろうか。 曲線を基調としている。
そして、バルコニー中央に縦方向に一本、鋼製グレーチングが最上階まで貫く。 これは、その裏側に設置する空調室外機を目立たなくするためのパネルであるのと同時に、外観に垂直性と左右対称性を与えるためのデザインパーツと見做せよう。 と同時に、左右の住戸境界に設けられたパーティションでもある。
バルコニーに面した各住戸の開口部は、面付けの鋼製一本引込み戸とガラスブロックの連窓となっており、その配列も、建物立面のシンメトリカルなデザインを補完する。


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2013.08.03/記