日本の佇まい
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建築探訪
横浜の超高層住宅街区
所在地:
神奈川県横浜市
西区みなとみらい4〜5

写真1


日本の街並みは乱雑で混沌としていてまとまりが無いというのは、以前から散々言われてきたことである。 そして、そんな様相の良し悪しといった評価も、既に十分手垢にまみれた風景論、あるいは都市論の一部でしかない。
それぞれの建物が、隣近所などお構い無しに好き勝手にデザインし、なお且つ法的可能範囲で不動産事業としての経済効率を極限まで追求するからこのようなことになる・・・ などという何処かで聞いた風な発言も、単なる独善でしかない。
建設・不動産事業を生業にする者だけではなく、施主の側だって、程度の差こそあれ何らかの形でこのような所業に手を染めているのだから。 そしてそのことは、プロジェクトの規模や用途を問わぬ。
では、その様な行為を制限すべく、強力な各種規制を設定した上で面開発を行ったらどうなるか。 その一例が、このタワーマンション群ということになろう。

2003年に建物高さ99.9m,30階建ての三棟の超高層マンション、M.M.TOWERSが竣工したのを皮切りに、その後数年の間に一気に複数の超高層マンションが立ち上がり、現在の景観が作り出された。
景観形成に係る規制の詳細は把握していない。 しかし、その群景からは幾つかの事項が想像出来よう。
例えば、外壁色、水平ラインを強調するデザインコード、タワー型の建物ボリューム。 はたまた容積率や建蔽率、高さ制限等による拘束。

結果として累々と立ちはだかることとなったそのタワーマンション群が織りなす姿に、混沌とした風景がもたらす様態とは異なる尋常ならざる雰囲気を視認してしまうのは、決して特殊な感覚ではあるまい。
遠方から望めば、そのスカイラインは概ね地上100mの高さで綺麗に揃えられ、異様なまでの恣意性をもってスッパリと空を切り取る。
そして近傍にて見上げれば、押し迫るかの如き均質な集住の積層体に思わず眩暈を覚えることとなる。



写真2:
写真3:

しかしそれでも、景観規制の効果は認められる。 もしも同様の配棟状況のまま、個々のタワーが好き勝手な表層デザインを施していたとしたら、眩暈どころでは済まされなかったかも知れぬ。
とはいえ、その風景を違和感無しに観ることもなかなかに困難ではある。
その主たる原因は、塔状比であろうか。 「みなとみらい21街づくり基本協定」に基づいてこの地区に掛けられた建物高さ規制の中で、許容される建物容積を十分消化しようとしたために、寸胴なプロポーションのタワーや、隣棟間隔に余裕が無いタワーが多い。 もう少し高い塔状比を可能とする規制が設定され、それによって天空率が高まる様な群景が形成されていたならば、雰囲気はかなり変わったのかもしれない。

景観規制と、個々のプロジェクトに科せられる事業収支の桎梏。 その狭間で、特異な景観が創出されることとなった。



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