日本の佇まい
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建築探訪
ススキノアパート
所在地:
北海道札幌市中央区
南6条西4丁目

建築年:
1958年11月

規模:
地下1階地上5階

写真1


札幌の市街地は、一辺を60間(約109m)とする正方形の街区を縦横に整然と配列した碁盤目状の都市構造を形成している。 そんな整形グリッドの中の一部に広がる、“すすきの”と呼ばれる歓楽街として名高いエリア(正式な地名ではない)の一街区。 その一辺全面にこの共同住宅が板状に屹立する。
街区の表皮を削ぎ切りしたかの様な細長い敷地形状のままに、長大でありながら奥行きの浅い配棟。 その敷地は、かつては「第二公設廉売市場」と呼ばれた公設市場であり、その施設の再開発に伴って現在の建物が作られた。
何とも微妙な都市への納まり方は、その様な経緯による。

地階に「すすきの0番地」と呼ばれる飲食店街、一階に第二公設廉売市場から引き継がれる「すすきの市場」が入居する。 そして二階から五階までが都市基盤整備公団の公営住宅。
いわゆる「下駄履きアパート」と呼ばれる一般市街地住宅だ。

二階以上の住宅部分へのアクセスは、東西妻面の北寄りに設けられた階段による。
屋内は未確認のため外観目視からの判断になるが、階段を昇った先の二階は、両端の階段を繋ぐように建物北側立面に共用内部廊下が貫く。 その供用廊下に面して二階に配置された各住戸の出入り口と、そして三階以上の住戸に到るための二戸一形式の屋内階段が複数配置される。 つまり、三階以上の各住戸へは、二階の共用廊下を介し、更に屋内階段を通じて到ることとなっている様だ。
この動線計画により、一階や地階の商業施設と二階以上の住戸群とは動線が完全に分離されている。



写真2:南東側外観
写真3:南側立面
道路に面したファサードは、二種の色分けによって単調さの緩和を試みているが、基本的には等間隔に配置された柱型の間に同一規格のサッシを嵌めた腰窓が無機的に並ぶのみ。 あらかじめ知識がなければ、用途が共同住宅であることを視認することは難しい。 それが、オフィスや商業建築が連なる都心に立地する集合住宅という与件に対する建設当時の一つの考え方であったとするならば、それはそれで面白い。


INDEXに戻る 2011.12.24/記