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建築探訪
道営住宅高町台団地
所在地:
北海道北広島市
高台町

建築年:
1977年〜1983年

規模:
35棟,250戸

写真1:


※1
JR北広島駅の西方に広がる丘陵地帯を造成して整備された住宅地。
開発開始は1970年。
面積441ha,計画人口27000人,計画戸数8000戸。

初めて訪ねた場所を散策する際、俯瞰的な眺望が確保できる場所がある場合は、まずそこに登り、地勢を確認する。 街並み散策にあたっては良くある行動であろう。
北海道内において三番目に開発されたニュータウンである北広島団地※1を初めて訪ねた際も、まずはそんな場所を探した。

団地内の西方に整備された竹葉公園という比較的大きい公園内に、その要件を満たすポイントがあった。 宅地造成前の地形をそのまま残したと思われる公園内の丘を登ると、団地内は勿論、石狩平野が一望できる。
そんな絶好のビューポイントから暫し風景を堪能していた折、集合煙突が規則的且つ密に並ぶエリアに目が留まった。


写真2:階層式住棟

写真3:連棟式住棟
※2

集合煙突の連なり。
頂部に設けられたアンテナが、同じ方角を向きつつも、それぞれに微妙に異なった形で並んでおり、画一的な外観に表情を与えている。

この連棟式住棟に並ぶ集合煙突の設置間隔が狭いために、密集しているように見えたのだ。 外観から判断すると、一つの住戸の間口は2間半。 そのため、2間半ごとに規則正しく煙突が並んでいる※2
「塔の団地」。そんな言葉が浮かんだ。

連棟式のものも階層式の住棟も、主要構造体はプレキャストコンクリート(PCa)で構成されているようだ。 妻側外壁面には、半間幅ごとにPCaパネルのジョイントと思しき目地が通っている。 スパン方向も、規格パネルを組み合わせていると思しきジョイント目地を確認できる。 住棟によっては、妻面のスラブに、ポストテンションの緊張端と思われるパーツの露出も確認できる。 そして勾配屋根部分は、北海道内の多くの公営住宅と同様、木造であろう。

集合煙突は、外壁から僅かな離隔をもって設置されている。 これは、煙突部分のみが現場打ちであるため、他のPCaパーツとは工法上縁を切る必要があったためかもしれない。
徹底した構成部材の標準化による効率的な住宅建設。 そんな設計思想が、無機的ながらもリズム感のある景観を造りだしている。

この団地は2010年11月から建て替えが始められ、今は掲載した写真とは異なる風景が広がる。



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