日本の佇まい
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建築探訪
金光教烏丸教会
所在地:
京都府京都市中京区
烏丸通夷川上る
少将井町233

建築年:
1971年7月

設計:
三澤建設設計事務所

写真1:外観


一瞥した印象ではコルビュジェのロンシャン礼拝堂を彷彿とさせるこの宗教施設は、四角い箱型の建物が並ぶ通り沿いの矩形の土地に、どこか窮屈そうに収まっている。 もっと自由で動的な造形であろうと希求するところを、周密な都市の整形な鋳型の中に無理やり嵌め込まれてしまったかのような、そんな印象。
しかしそれであっても、一目で異形と視認することに、さほど困難は伴わない。 その極めつけは、建物頂部のコンクリートの量塊であろう。
重量感のある圧倒的な物質が宙に浮いているという非日常的な状況。 勿論実際に浮いている訳ではなく華奢な柱によって支えられている訳であるが、そうであったとしても、柱に対して不相応に肥大したスケール感がもたらす不可思議さ。
あるいは、その量塊自体の不定型な形状。
ロンシャンの場合は庇という機能が与えられているのに対し、この量塊が如何なる機能を担っているのかは判らぬ。


写真2:東側立面
写真3:立面見上げ
※1

手前が鋼製の低い欄干を伴う太鼓橋。背後にピロティ状のアプローチ空間が建物の奥へと続く。

足元廻りに目を向けると、水景を見立てたのであろう白砂利が敷かれた帯状の領域が敷地の間口一杯に設けられ、公共の歩道と敷地を分かつ。 そして双方の間になだらかな太鼓橋が架けられることで、明確な結界が形成されている※1

頂部の量塊や、あるいは足元廻りの外構等を含め所々に見受けられる個性的な形態処理は、その一つ一つが宗教の教義との摺合せが図られたものなのであろうか。
それを確かめる気力は無い。
しかし勝手にイメージを膨らませるならば、例えばコンクリートの量塊は、支石によって巨石を高々と持ち上げたドルメンを思わせる。 太古の力強い形象が、近代の素材によって現代建築の頂部に載冠され、四角四面の建物が並ぶ都市の桎梏にあって、周囲のそれらを圧倒する寓喩的力学を発動している。 そんな見立ても可能であろうか。



 
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2013.05.11/記