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建築探訪
栃木県開発センタービル
所在地:
栃木県宇都宮市
栄町1-15

建築年:
1971年

設計:
大高正人/
大高建築設計事務所

施工:
佐藤工業

写真1:南西側外観


※1

写真3:
西側立面最上階廻り詳細。

宇都宮市内にて、幹線道路から一本奥まった生活道路を散策中、この建物が遠目に見えた。
「結構がんばってデザインされた建物かもネ」などと気楽に考えながら近傍へ。 改めてその外観を見上げた際のアングルが、下に掲載した画像。 こいつは何だかタダモノではないと、思わず括目する。
ちょうど南東側から眺めた外観となるが、その南面を構成する各部位のデザイン意図がとても明確だ。 対称形に二列、ガラスと鋼製枠によるカーテンウォールのボリュームを並べた南面ファサード。 その隅角は、ガラスのコーナー突付けにしてスパンドレルをその背後に後退させる等、エッジをシャープに見せる配慮が見受けられる。 双方のボリュームの間に小叩き仕上げを施したコンクリート壁面に拠るシャフト状のボリュームを挿入し、対称軸として位置付けると共にシンメトリカルなデザインを強調。
そして下層部は、一階を大きくピロティとして大地から切り離しつつ、二階部分は開口を最小限に抑えた壁面を強調した意匠によって基壇としての構えを強調している。

細部まで練り尽くされた形態操作に心躍らせつつ、幹線道路に面した西側に廻ってみる。 そちらは、南側とは異なり、コンクリート壁面を強調したデザイン(写真1)。
中央の大きな壁は、正面をコンクリート打ち放し、側面を小叩きとし、出隅で仕上げを切り分けている※1。 この中央の壁面からやや離隔を設けて左右に突出する袖壁も、その出隅にピン角と刳り型を並置させる等、各パーツのエッジ部分の意匠に細心の意が払われている。 最上階にガラスと鋼製枠による外表を用いたボリュームをオーバーハングさせて頂部を引き締める。 そして、これらのパーツを左右対称に配置することで、南面ファサードとは異なった表情ながらも一つの建物としての統一性を保持。
更に、北側立面は南面と、東側立面は西側のファサードと同様の意匠によってまとめられている。

個々のディテールが極めて繊細であるのと同時に、それらの形態操作が逐一、建物の構成要素としていずれも理に適っているいう印象。 そのことが、外観を美しいものとして成立させている。



 
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2015.11.28/記