日本の佇まい
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建築探訪:大網白里市商工会館
所在地:
千葉県大網白里市
金谷郷24-9

建築年:
1974年10月

北西側外観
※1

西側立面見上げ
柱と壁の取り合い箇所詳細

ほぼ正方形のプロポーションを持つ北側立面が、道路境界からやや後退して立ち上がる。 柱と梁による整形な構造フレームが外形を固め、その内側にアルミ(一部、スチール)サッシや腰壁が、割り付けを含めてややグラフィカルな扱いをもって左右対称に配され外観の個性を成す。

対して東西妻面は閉鎖的な構え。
北側立面から廻り込んだ柱梁フレーム内は、サッシではなくコンクリート小叩き仕上げの壁で塞がれている。 柱と小叩き壁の取り合い部※1は、スリット状の面落ちによって互いの縁を明確に分離。 更にその後退部分に雨水竪樋も配し、見え掛かりに露出しないよう配慮されている。
正面から廻されたフレームは、途上に突出する階段室を収めた三層分のシャフト状のボリュームと取り合って一旦途切れる。 そのシャフトの壁面もコンクリート小叩き仕上げ。 但し隅角を縦方向に矩形にしゃくり、そこにもスリット状の外部開口を設けてエッジをシャープに際立たせている。

建物の裏手に当たる南面に廻ってみると、こちら側も接道する。
構造フレームが外形を規定する組み立ては正面側と同様だが、塗装色は赤紫。 そして、二階のオーバーハングと間口一杯のスチール製横連窓サッシが外観の印象を決定づける。
表面の塗装は、その風化具合から竣工時からのオリジナルと思われる。 郷土資料に載る画像によると、正面側のフレームもかつては同じ赤紫色が用いられていた。


北側立面
南側外観


南東側外観

北側正面と東西妻面、そして南側裏面。 それぞれに異なる表情が与えられながら、全景に破綻は見受けられない。 柱梁の整形な構造フレームが全体を統制し、一つの建物としての整った外観を造り出している。

その立地はJR大網駅近傍。 北側に接する道路を挟んで向かい側は東金線の線路敷。
駅からさほど離れていないため、当該建物の前を通過する際の列車のスピードはそれほど速くはない。 従って、小ぶりながらもその存在が車窓より十分視認可能だ。 否、単に電車の速度だけではない。 その個性的な外観が視覚に強い印象を与える。 私が建物の存在に気付いたのも、車内から目に留まった北側外観がきっかけだった。
言わば、サイン計画としての外観構成。 立地を鑑みたのであろう企てが、意匠に明確に立ち顕れている。



 
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おおあみしらさと郷土百年のあゆみ改訂版
<大網白里町教育委員会/1982年3月発行>
わたしたちの大網白里町(第五次改訂版)
<千葉県大網白里町社会科副読本編集/1979年発行>

2025.03.15/記