日本の佇まい
国内の様々な建築について徒然に記したサイトです |
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建築探訪:市原看護専門学校
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所在地: 千葉県市原市 八幡1050 設計: 北村・鶴巻設計事務所 |
北西側外観
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JR内房線八幡宿駅の西口に出て駅前から伸びる道路を暫し北西方向に歩くと、旧街道を思わせる名残が所どころに辛うじて確認される街路が直交する。
調べてみると、かつて房総往還と呼ばれていた道筋。
近世においては海と陸の交通の要衝として宿場町が形成され、そのことが地名の由来になっている。
かつての町並みの残滓を確認しながら更に北西に進むと、往還に並行する県道24号(白金通り)、そして八幡運河。 その水路より先には、昭和半ばに東京湾沿岸を埋め立てて造成された京葉工業地帯がどこまでも広がるかの如く。 近世から続く旧市街と近代以降に整備された巨大工場群との併置。 その境界に当該専門学校が立地する。 |
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袋小路側外観
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敷地は、白銀通りから分岐する袋小路の末端のみで接道。
正門が配される。
それ以外の敷地境界は全て隣地に面する。
旗竿地にも似た条件にありながら、しかし四周に近隣建物が迫っている訳ではない。 北西側は上記運河。 東側には「八幡運動公園」と名付けられた広大な公園。 その敷地条件に対し、建物は中庭をロの字に囲う配棟。 当専門学校の公式サイトに掲載されているフロアマップでは、中庭や、あるいは東側の公園の存在を考慮したと思われる諸室配置が確認出来る。 但し、北西側は運河に面するにも関わらず、やや閉鎖的な構え。 接道状況から自ずと導き出される建物内の動線計画を鑑みれば、確かにそちら側は裏手となる。 しかし運河を挟む向かい側には、「宮下公園」と名付けられた公共公園が整備されている。 それでも尚そちらの方向に閉じた構えをとったのは、公園の先に陸続と連なる工業地帯を意識したためか。 |
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※1:
二階及び三階の棟間を連絡する屋外空中廊下の奥に中庭が配されている。
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西側外観※1
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東側外観※2
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しかし、閉じた構えであるがために開口が少なく壁面が強調された北西側立面は、決して裏手としての意匠処理に留まってはいない。
むしろ配置される屋内用途に応じて凹凸を意識的に設け、あるいは分節することで、プロポーション良く立体が複合する全体像が形成されている※3。
そしてその様態が運河の向こう側に通る京葉工業地帯と市街地を分かつ湾岸道路から遠望される。
建物を開設している法人若しくは設計者は、工業地帯の大動脈であるこの幹線道路からの視線を意識し、北西側立面を構想したのではないか。 大した幅員を持たぬ袋小路の末端にて辛うじて接道する敷地条件であるために、アプローチ側からの視線においてその存在感を十分に示すのは難しい。 それがための、裏手の意匠処理。 実際、私がこの専門学校の存在に気付いたのも、湾岸道路を走行中の時であった。 |
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2023.06.10/記
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