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建築探訪
習志野市中央消防署谷津出張所
所在地:
千葉県習志野市
谷津4-3-5

建築年:
1968年4月

構造:
RC造2F/PH1
244.15平米

南側外観


京成電鉄本線に乗車中、その車窓からこの建物の裏側の外観を臨むことが出来る。 荒々しい相貌の外壁。 架構を組むという状況が強調された骨太の梁。 そして建物の規模に比して大仰に見える物見塔の様な塔屋。

一体何の建物だろうと思い、最寄りの谷津駅で下車し建物に向かう。 線路沿いの道路を暫し進み、最初の交差点を曲がると見えて来るその正面側外観を一瞥すれば、用途は明白。 一階の大半を占める天井の高いピロティ空間に収容されているのは、救急車や消防車といった緊急自動車。 更に近づいて施設名の表示を見れば、所轄消防の出張所とある。 物見塔の様に見えた塔屋も、建設当時は必要な機能として計画されたものだったのであろう。

道路沿いに見上げる正面側立面を暫し堪能した後、建物背後に通る京成電鉄本線沿いに移動。 車窓からの視線とほぼ同じアングルの建物裏手の外観(右写真)を改めて眺める。
正面も裏側も、否、建物全ての立面において、その外観構成要素が極めて多い。 例えば、梁や柱といった構造体。 あるいは、手摺や窓台やキャンチ状に張り出したバルコニーといった付属部材。 そして塔屋。
至極一般的な設計行為であれば、コストや施工性を鑑みた上で、統合可能な要素は可能な限り纏めることでディテールを減らし、簡素化を図ることに意が払われる。 しかしここでは、その様な配慮が端から破棄されている。 むしろ、要素を積極的に抽出・細分化し、その一つひとつに執拗に意匠を与えることで建物外観を複雑で掘り深いものにしている。 結果創り出された様態は、RC造というよりは、むしろ骨太の木材を強固に組んで屹立させた砦の如し。 それは、地域の防災の拠点としての建物用途の在り姿を、意匠的な強靭性の付与によって表出させようと企図されたものだったのかもしれない。



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