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建築探訪
旧小樽拘置支所
所在地:
北海道小樽市
緑町1-23-3

建築年:
1963年9月

規模:
RC造4F,1200m2

写真1:南東側外観

その用途に関する事前の知識もない状態でこの建物を初めて遠目に見掛けた際の第一印象は、単純に「なかなかカッコ良さそうじゃないか」といったものであった。
ほぼ全面を平滑なガラス張りとしたファサード。 その妻面は無窓の白壁。 竣工してからかなり時を経ている雰囲気。

興味を持ち、近づいてみる。
近傍の日本赤十字社小樽保育所越しに臨む南東側外観(写真1)は、遠目に初見した際の印象そのままのシャープでミニマルなもの。 サッシの割り付けも規則性の中に適度な変化を持たせており、悪くない。 と同時に、どこか閉鎖的でもある。 それは、張られたガラスが全て不透明であるため。
何の用途の建物だろうと更に歩を進め、西側の立面(写真2)を目にした時、大いに違和を持つ。 全面ガラス張りの東側とは異なり、無表情な壁面に小窓が無機的に並ぶ。 しかも全ての窓に鉄格子が付く。 そして敷地境界にはコンクリート打ち放しの高い塀。
何なのだと思い建物が接道する北側(写真3)に移動して漸く合点がいく。 そこには「小樽拘置支所」の館銘板。 周囲は普通の戸建て住宅街。 まさかその一画にこの用途の建物が忽然と立地するとは意外であった。


写真2:
南東側外観

写真3:
西側外観

しかし用途が何であれ、関心が持てる外観の建物であることに変わりはない。 市内の図書館にて少し調べてみると、建築年や規模等の建物概要は冒頭に記した通り。 現在の建物となる以前から隣地に同支所が設けられていたが、施設拡充のため現在地を取得し1961年8月に着工。 独居房30、雑居房6で構成され、収容人数は72名。 東側立面を特徴付けるガラス面は竣工当初からのものでは無い様だ。
果たしてそのガラス張り部分の内観は如何に。 実際に観て確かめてみたい気もするけれど、しかしお世話になりたい施設という訳でもない。

当該支所は、2015年12月に札幌拘置支所に移管・統合されたことに伴い閉鎖された。

参考文献:小樽市史<小樽市>

2018.08.25/記