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建築探訪
備前市立日生西公民館
所在地:
岡山県備前市
日生町日生630-1

建築年:
1965年5月

写真1:南東側外観


日生町を訪ねた目的は、同町の役所庁舎を観ることであった。 1961年11月竣工の庁舎は、特異な構造形式がそのまま外観意匠に表出した尋常ならざるラディカルな建築。 で、裏側のファサードも確認しようと建物の背後に歩を進めたところ、当該公民館が目に留まった。

同じく60年代風の装い。 こちらも面白いかもと暫しその外観を眺めているうちに、これは庁舎と同様にタダモノでは無い建築だという印象に徐々に変わることとなった。 さほど規模の大きくない建物の外観は、部位によって全く異なるディテールが採用されており、一つとして同じ箇所は無い。
例えば南面ファサード二階部分には厚さを極力抑えつつ出幅を大きくとった庇。 その両脇は、庇とは逆の分厚い袖壁で支持。 但しその先端はなだらかにテーパが取られている。 その庇と袖壁に囲まれた壁面は、殆どが鋼製サッシによる開口部。 そんな透過性の高い装いとはうって変わって妻壁はコンクリート打ち放しの壁面のみが二層にわたって立ち上がり、開口は一切無し。 但し中央頂部に屋根面雨水排水の樋嘴が取り付き表情を添える。 南面に視線を戻し一階廻りを観ると、向かって右手は袖壁が等間隔に並び、その間に躯体手摺が取り付くバルコニー。 その左手に、横桟を千鳥に割り付けた鋼製サッシで表情を与えたガラス壁。 一階と二階で全く異なる立面構成を引き締めるべく、双方の間には分厚い躯体手摺が廻る。 更にその左手には、シェル構造の屋根を持つ平屋棟が接続。



写真3:一階中央部分
写真2:南西側外観

他にも意を凝らした様々な意匠で溢れており、その全てをここに記すことはもはや大した意味を持たぬ。 それ程に多くの形態要素を取り込みながら、しかし全体像は全く破綻していない。 一つの建物として端正に纏め上げられているところが侮れぬ。

気になって地元の図書館で町史を紐解いてみる。
建物は中央公民館として1964年10月に着工。 翌年5月に開館。 延床面積191.3坪。 総工費2000万円。 屋内は、大ホールや講義室、小会議室、和室、図書室、ロビー、喫茶室等を完備とある。
様々な要素で構成される外観は、多用途を取り込んだ内部構成の表出であったのかもしれぬ。 更に町史には、“新築当時は公民館として稀に見る斬新な建物ということで、県内外から視察者が殺到した。”と記されている。
完成当時の人々の感嘆と興奮が、建物を目の前にして今でも十分伝わって来る様な気がした。



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