日本の佇まい
国内の様々な建築について徒然に記したサイトです |
|||||
■
|
INDEXに戻る |
建築探訪
春秋会館(旧県立高田保健所) |
|||
所在地:
新潟県上越市 本城町5-3 竣工: 1964年8月 規模: RC4F 1272平米(竣工当時) |
写真1:南側外観 |
||
|
|
城下町としての長い歴史を持つとともに豪雪地帯という気象条件がもたらした雁木の街並みが面的に残る上越市高田。
駅を降り立ち東方向に歩を進めると、やがて高田城跡が見えてくる。
今は高田公園として整備され、文化施設やスポーツ施設が散在するその公園の更に東側、かつて高田城の本丸を円環状に囲っていた二の丸の南東部分に当たる場所に建つ上越地域振興局庁舎の南端に、当該建物が位置する。
T字型の交差点に面して建つこの建物は、エントランス脇に「春秋会館」と墨書きされた木製の大きな館銘板が掲げられている。
周囲とは異質な外観を見挙げ、取り敢えずはそのディテールを確認してみる。
ペントハウスを含めて四階建て。
但し敷地と前面道路のレベルの関係から、メインエントランスは二階部分となっている。
車寄せを伴うエントランスを覆うキャノピーは、その先端を支える柱の形状も含め、単純な形状ながらプロポーションに意が尽くされている。
二階および三階部分は、円形の外壁に沿って同心円状に持ち出し形式のバルコニーが廻る。 建物自体は開館していなかったので屋内は確認するには及んでいない。 エントランス扉のガラス面から屋内を少し覗いてみるが、内観構成はよくわからぬ。
ということで、とても興味深い建物。
何か来歴が判るものはないかと、定礎の類いを探すが見つからず。 資料の中には、「市内初の円形建物」と紹介するものがあったが、その建築年は国内で学校建築などを中心に円形建物が興隆した時期と重なる。 恐らくは建築潮流に纏わる新進の意識を持ってこの建物が構想され、そして実現したのではないか。 ちなみに、開発局庁舎の竣工は当該建物よりも一年早い。 要求される規模や機能の違いが、隣接する公共施設でありながら異なる形態を生じさせたのであろう。 |
|||
|
|
||
2015.10.24/記 |