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建築探訪
三業会館
所在地:
新潟県新潟市
中央区西掘前通9-1538

竣工:
1964年6月

規模:
地上3階

写真1:西側外観


新潟の三業協同組合の施設。
三業とは、花街に関わる三つの業種、芸者置屋、待合、料理屋のことを指す。

三方を隣地に囲われた敷地に建つ。 唯一接道する西側立面は、このような立地条件にも関わらず、壁面が強調された閉鎖的な構え。
しかし、無表情で排他的な印象は無い。 壁面両翼に前方に向けた微妙な反りを設けることで、人を優しく迎え入れる様な印象を与えているせいだろうか。 そしてその表層を覆うタイルのテクスチャも繊細だ。 壁面のやや左寄りに設けられた小さな縦スリットも、ファサードに表情を与えている。


写真2:
ファサードの別アングル。
写真3:
建物左手側面。 別の曲率による壁が設けられている。 道路側からは殆ど視認され得ぬ部分にも、意匠上の配慮。

一階部分は、その全面に車寄せに沿うように庇が設けられている。 その庇は、右手側が上層の壁面よりも強い曲率で前面の道路に向かって弧を描いているが、これも、建物へと人を誘う構えとして認識されよう。 奥行きの深いこの庇が、一階部分に陰影をもたらし、上層のタイル張りの量塊を地上から切り離す。 そして、陰と量塊の境界を、庇による一本の水平線が横断することで、安定感のある全体像を造り出しているという様な印象を与える。

内部は180名収容のホールや会議室、和室等で構成されている。



2010.01.09/記