建物正面の中央頂部に段状の破風※1が設けられ、その下に車寄せを覆う大きな庇が取り付けられたメインの出入口が配置される。
そしてその両翼に、縦長窓と雨水竪樋の配列のみで構成されたシンプルな立面が左右対称に展開する。

この竪樋は、その頂部がＹ字状に分岐している(写真２)※2。
一方の集水口にゴミなどが詰まって排水能力が損なわれても、他方で機能を維持させるという意図であろう。
と同時に、分岐という形態操作により、単なる機能であるはずの樋に表情が生まれている。
そしてその足長のＹ字型が等間隔に並ぶことで、外観に一定のリズムを刻んでいる。

どちらかというと、樋は外観を構成する上で余計な要素として扱われ、なるべく目立たないように配慮されるものだ。
しかしこの建物では、機能とデザインを両立させた外観構成要素として積極的に用いられている。